はじめに
前章は 簡単なWebサーバを立ち上げるというサンプルプロジェクトを実行しました。うち、Terraformには様々な記載文法がありますので、把握した方がいい部分だけ説明します。
1. Configuration Syntax
Terraformのコード構成要素、コードの構成文の書き方です。Terraformの利用ガイドラインに沿って記載してみてください。Terraformのバージョンによっては書き方が異なる場合がありますので、注意が必要です。
# project_nameを宣言variable "project_name" {}/* alicloud_vpcを設定変数project_nameを呼び出す */resource "alicloud_vpc" "vpc" {name = "${var.project_name}-vpc"cidr_block = "192.168.1.0/24"}
- 単一行コメントは
#
をつけます。 - 複数行コメントは
/*
と*/
で囲みます。 - 文字列は二重引用符で囲みます。
- 文字列は
${}
を使って他の構文や値を補間できます。${var.foo}
。 - 数字は10進数で扱います。数字の前に英数字を付けると、例えば0xでも16進数として扱われます。
- ブール値が使え、true、falseのどれかになります。
- プリミティブ型のリストは角括弧([])で作成できます。例:
["foo", "bar", "baz"]
- マップは中括弧({})とコロン(:) で作成できます。例:
{ "foo": "bar", "bar": "baz" }
キーが数字で始まっていない限り、キーでは引用符を省略できます。その場合は、引用符が必要です。単一行マップでは、キーと値のペアの間にコンマが必要です。複数行マップではキーと値のペアの間の改行で十分です。
他、構成文の書き方もありますが、ひとまずは上記のを抑えれば大抵問題ないです。
2. Interpolation Syntax
変数・関数・属性など、コード補充機能です。
ユーザ文字列変数 var.接頭辞とそれに続く変数名を使用します。たとえば
${var.foo}
で foo変数値を補間します。ユーザーマップ変数 構文は
var.MAP["KEY"]
です。たとえば${var.amis["us-east-1"]}
でマップ変数us-east-1
、内キーの値amis
を取得します。ユーザリスト変数 構文は
${var.LIST}
です。たとえば${var.subnets}
でsubnetsリストの値
をリストとして取得します。リスト要素をindexで返すこともできます。例:${var.subnets[idx]}
。リソース自身の属性 構文はself.ATTRIBUTEです。たとえば
${self.private_ip}
でそのリソースのprivate_ip
を取得します。他のリソースの属性 構文は
TYPE.NAME.ATTRIBUTE
です。たとえば${aws_instance.web.id}
という名前のaws_instance
リソースからweb属性のIDを取得できます。リソースにcount属性セットがある場合は、0から始まるインデックスを使用して個々の属性にアクセスできます。例:${aws_instance.web.0.id}
。 splat構文を使ってすべての属性のリストを取得することもできます。例:${aws_instance.web.*.id}
。データソースの属性 構文は
data.TYPE.NAME.ATTRIBUTE
です。たとえば${data.aws_ami.ubuntu.id}
ならaws_ami
というデータソースからubuntu
属性のid
を取得します。データソースに属性セットがある場合は、のようにゼロから始まるインデックスを使用して個々の属性にアクセスできます。例:${data.aws_subnet.example.0.cidr_block}
。 splat構文を使ってすべての属性のリストを取得することもできます。例:${data.aws_subnet.example.*.cidr_block}
モジュールからの出力 構文は
MODULE.NAME.OUTPUT
です。たとえば${module.foo.bar}
の場合、foo
というモジュールのbar
を取得します。カウント情報 構文は
count.FIELD
です。たとえば${count.index}
の場合、count
毎のインデックスらリソースを取得します。
その他、補充機能はTerraformバージョンごとに色々追加されていますので、最新版はこちらを参照してみてください。
3. 外部変数
上記にも記述しましたが、RAMなどの情報を他ユーザへ渡したくない場合、別途設定ファイル confing.tfvars
へ記載します。例えば以下の別途設定ファイル confing.tfvars
、および実行ファイル main.tf
があるとします。
▼ 別途設定ファイル confing.tfvars
の中身
access_key = "xxxxxxxxxxxxxxxxxx"secret_key = "xxxxxxxxxxxxxxxxxx"region = "ap-northeast-1"zone = "ap-northeast-1a"
▼ 実行ファイル main.tf
の中身
variable "access_key" {}variable "secret_key" {}variable "region" {}variable "zone" {}provider "alicloud" {access_key = "${var.access_key}"secret_key = "${var.secret_key}"region = "${var.region}"}
これをコマンド実行時に「 -var-file="<ファイル名>"」引数オプションで設定ファイルを外部変数・リンクし実行します。
$ terraform plan -var-file="confing.tfvars"
すると、RAMなどアカウント情報を別ファイルに残したまま、リソース作成されます。
4 ローカル値
locals
を使うとローカル変数が定義できます。locals
で囲んだ変数を宣言することで、ローカル変数を使うことができます。
▼ ローカル変数の定義
locals {select_instance_type = "ecs.n4.small"}resource "alicloud_instance" "ECS_instance" {instance_name = "ECS_instance_for_terraform"host_name = "ECS_instance_for_terraform"instance_type = var.select_instance_typeimage_id = "centos_7_04_64_20G_alibase_201701015.vhd"system_disk_category = "cloud_efficiency"security_groups = ["${alicloud_security_group.sg.id}"]availability_zone = "${var.zone}"vswitch_id = "${alicloud_vswitch.vsw.id}"}
5. アウトプット
output
を使うとアウトプットが定義できます。定義すると、apply実行時にターミナルで値を確認したり、リソース・モジュールから値を取得できます。
▼ アウトプット値の定義
resource "alicloud_instance" "ECS_instance" {instance_name = "ECS_instance_for_terraform"host_name = "ECS_instance_for_terraform"instance_type = "ecs.n4.small"image_id = "centos_7_04_64_20G_alibase_201701015.vhd"system_disk_category = "cloud_efficiency"security_groups = ["${alicloud_security_group.sg.id}"]availability_zone = "${var.zone}"vswitch_id = "${alicloud_vswitch.vsw.id}"}output "ECS_instance_id" {value = alicloud_instance.ECS_instance.instance_type}
applyすると、実行結果の最後に、作成されたインスタンスの type が出力されます。
$ terraform apply.....Outputs:ecs.n4.small
6. 条件分岐
Terraformは条件分岐が使えます。先にvariable
変数を記載したあと、resource構文にてvariable
変数を選定します。例えば環境に応じてインスタンスタイプを切り替えたい場合は、以下のように書きます。
▼ 条件分岐の記載方法
variable "instance_pattern" {}resource "alicloud_instance" "ECS_instance" {instance_name = "ECS_instance_for_terraform"host_name = "ECS_instance_for_terraform"instance_type = var.instance_pattern == "dev" ? "ecs.n4.small" : "ecs.n4.2xlarge"image_id = "centos_7_04_64_20G_alibase_201701015.vhd"system_disk_category = "cloud_efficiency"security_groups = ["${alicloud_security_group.sg.id}"]availability_zone = "${var.zone}"vswitch_id = "${alicloud_vswitch.vsw.id}"}
そのあと、実行するときは引数でenv変数を指定することで、条件分岐してくれます。
$ terraform plan -var-file="confing.tfvars" -var 'instance_pattern=dev'$ terraform apply -var-file="confing.tfvars" -var 'instance_pattern=production'
7. 組み込み関数
Terraformからリソースを作成するときに、例えばApacheによるWebサーバを立ち上げたい場合、ECS起動後、Apacheのインストール、Webサーバ立ち上げ(httpd.service start)をする必要があります。
これらの処理を組み込み関数として、user_data
にて外部ファイル(shell)を読み取りユーザデータとして設定することができます。
▼ Webサーバのインストールスクリプトinstall.sh
#!/bin/bash -exwget http://dev.mysql.com/get/mysql-community-release-el7-5.noarch.rpmrpm -ivh mysql-community-release-el7-5.noarch.rpmyum -y install mysql-server httpd php php-mysql unzipsystemctl enable httpdsystemctl enable mysqldsystemctl start httpdsystemctl start mysqldUSER="root"DATABASE="wordpress"mysql -u $USER << EOFCREATE DATABASE $DATABASE;GRANT ALL PRIVILEGES ON wordpress.* TO 'wordpress'@'localhost' IDENTIFIED BY 'qweqwe123!';EOFif [ ! -f /var/www/html/latest.tar.gz ]; thencd /var/www/htmlwget -c http://wordpress.org/latest.tar.gztar -xzvf latest.tar.gzmv wordpress/* /var/www/html/chown -R apache.apache /var/www/html/chmod -R 755 /var/www/html/fi
これをuser_dataに入れて実行すると、install.shファイルを読み込み、Apacheをインストール、Webサーバを立ち上げてくれます。
▼ Webサーバのインストールスクリプトを読み込み、Webサーバを立ち上げてくれます
resource "alicloud_instance" "ECS_instance" {instance_name = "ECS_instance_for_terraform"host_name = "ECS_instance_for_terraform"instance_type = var.instance_pattern == "dev" ? "ecs.n4.small" : "ecs.n4.2xlarge"image_id = "centos_7_04_64_20G_alibase_201701015.vhd"system_disk_category = "cloud_efficiency"security_groups = ["${alicloud_security_group.sg.id}"]availability_zone = "${var.zone}"vswitch_id = "${alicloud_vswitch.vsw.id}"user_data = file("./install.sh")}
8. Countによる複数のリソース作成
Terraformからリソースを作成するときに、同じ構成を複数台作成したい場合は、Countメタ変数を使うことで複数台作成することができます。
resource "alicloud_instance" "ECS_instance" {instance_name = "ECS_instance_for_terraform"host_name = "ECS_instance_for_terraform"instance_type = var.instance_pattern == "dev" ? "ecs.n4.small" : "ecs.n4.2xlarge"image_id = "centos_7_04_64_20G_alibase_201701015.vhd"system_disk_category = "cloud_efficiency"security_groups = ["${alicloud_security_group.sg.id}"]availability_zone = "${var.zone}"vswitch_id = "${alicloud_vswitch.vsw.id}"user_data = file("./install.sh")}
またCountを使えば、Map形式で複数宣言してる変数からkeyを指定して処理することもできます。
variable "cidr_block_ips" {default = {"0" = "192.168.1.0/24""1" = "192.168.2.0/24""2" = "192.168.3.0/24"}}resource "alicloud_vpc" "vpc" {count = "3"cidr_block = "${lookup(var.cidr_block_ips, count.index)}"・・・}
配列もCountを使って処理することもできます。
variable "ecs_name" {default = ["Web", "App", "Log"]}resource "alicloud_instance" "ECS_instance" {count = "3"instance_name = "ECS_instance-${var.ecs_name[count.index]}"・・・}